2016年5月17日火曜日

「雪いとど深し 花いよよ近し」 [柳宗悦]



雪 イトド深シ

花 イヨヨ近シ


柳宗悦『心偈』第60



雪が烈しく寒さが厳しい時こそは、花の季節がいよいよ近附いたと思え。

この世のことは、ただ暗さのみではあるまい。丁度陰が濃ければ濃いほど、反面に光も強いことを証拠立てているようなものである。暗は明に裏附けられる。

雪の頃ともなれば、花は既に吾々を待っているのである。そのしんしんと降り積もる雪の中から、花の季節は刻々に近づいてくるのである。苦難の大は、希望の大を約束する。






引用:南無阿弥陀仏―付・心偈 (岩波文庫)



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