2019年11月25日月曜日

【原文ルビ訓読】禅林句集 14字 001-010




14001-010

1[類聚2
握土成金 猶可易、
変金為土 却還難。

土を握って金と成すことは猶易かるべし、
金を変じて土と為すことは却って還た難し。

()(にぎ)って(きん)()すことは(なお)(やす)かるべし、
(きん)(へん)じて()()すことは(かえ)って()(かた)し。

2[碧巌43
安禅 不必須山水、
滅却心頭 火自涼。

安禅は必ずしも山水を須いず、
心頭を滅却すれば火も自ずから涼し。

安禅(あんぜん)(かなら)ずしも山水(さんすい)(もち)いず、
心頭(しんとう)滅却(めっきゃく)すれば()(おの)ずから(すず)し。

3
依然 百丈山頭月、
五百生前 汝是誰。

依然たり百丈山頭の月、
五百生前 汝は是れ誰ぞ。

依然(いぜん)たり百丈(ひゃくじょう)山頭(さんとう)(つき)
五百生(ごひゃくしょう)(ぜん) (なんじ)()()ぞ。

4[全唐]
依稀似曲 纔堪聴、
又被風吹 別調中。

依稀として曲に似て
纔かに聴くに堪えたり、
又風に別調の中に吹かる。

依稀(いき)として(きょく)()
(わず)かに()くに()えたり、
(また)(かぜ)別調(べっちょう)(なか)()かる。

5[虚堂3
惟愛 清台新暦日
懶観 韓子送窮文。

惟愛す 清台の新暦日
観るに懶し 韓子が送窮の文。

(ただ)(あい)す 清台(せいたい)(しん)暦日(れきじつ)
()るに(ものう)し 韓子(かんし)送窮(そうきゅう)(ぶん)

6[白氏]
遺愛寺鐘 欹枕聞、
香炉峰雪 撥簾看。

遺愛寺の鐘は枕を欹てて聞き、
香炉峰の雪は簾を撥げて看る。

遺愛寺(いあいじ)(かね)(まくら)(そばだ)てて()き、
香炉峰(こうろほう)(ゆき)(すだれ)(かか)げて()る。

7[五祖]
一口吸尽 西江水、
洛陽牡丹 新吐蕊。

一口に吸尽す 西江水、
洛陽の牡丹 新たに蕊を吐く。

一口(いっく)吸尽(きゅうじん)す 西江水(せいごうすい)
洛陽(らくよう)牡丹(ぼたん) (あら)たに(ずい)()く。

8[貞和9
一心只在 梅花上、
凍損吟身 也不知。

一心 只梅花の上に在り、
吟身を凍損するも也た知らず。

一心(いっしん) (ただ)梅花(ばいか)(うえ)()り、
吟身(ぎんしん)凍損(とうそん)するも()()らず。

9[普灯27
一火鋳成 金弾子、
団欒都 不費鉗鎚。

一火 鋳成す金弾子、
団欒 都べて鉗鎚を費さず。

一火(いっか) 鋳成(いな)金弾子(きんだんす)
団欒(だんらん) ()べて鉗鎚(けんつい)(ついや)さず。

10[伝灯16
一片白雲 横谷口、
幾多帰鳥 夜迷巣。

一片の白雲 谷口に横たわり、
幾多の帰鳥か 夜巣に迷う。

一片(いっぺん)白雲(はくうん) 谷口(こっこう)(よこ)たわり、
幾多(いくた)帰鳥(きちょう)か (よる)()(まよ)う。




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