← 【原文ルビ訓読】禅林句集『和訓略解』八言対 001-027
禅林句集 和訓略解
八言対
外句増続
外句増続
P476 (243)
1
元亨利貞 天道之常、
仁義礼智 人性之綱。
元亨利貞は天道の常なり、
仁義礼智は人性の綱なり。
元亨利貞は天道の常なり、
仁義礼智は人性の綱なり。
【解】「元亨利貞」、「仁義礼智」は天道人生の根本。「元」は始、「亨」は通、「利」は遂、「貞」は成なり。
P477 (243)
2
以盲為明 以聾為聡、
以危為安 以吉為凶。
盲を以て明と為し 聾を以て聡と為し、
危を以て安と為し 吉を以て凶と為す。
盲を以て明と為し 聾を以て聡と為し、
危を以て安と為し 吉を以て凶と為す。
【解】上句は具眼者の作用、下句は無眼子の作用なり。
3[碧眼1]
隔山見煙 便知是火、
隔墻見角 便知是牛。
山を隔てて煙を見ては
便ち是れ火なるを知り、
墻を隔てて角を見ては
便ち是れ牛なることを知る。
山を隔てて煙を見ては
便ち是れ火なるを知り、
墻を隔てて角を見ては
便ち是れ牛なることを知る。
【解】学人の俊発聡明なるハタラキをいふ。
4[宗鏡45]
理無不窮 事無不尽、
文無不釈 義無不証。
理として窮めずといふことなく
事として尽さずといふことなく、
文として釈せずといふことなく
義として証めずといふことなし。
理として窮めずといふことなく
事として尽さずといふことなく、
文として釈せずといふことなく
義として証めずといふことなし。
【解】「理事」「文義」悉皆、明め尽くす、真の宗師家のこと。
5
見其利而 不顧其害、
同類相推 倶入禍門。
其利を見て 其害を顧みず、
同類相推て 倶に禍門に入る。
其利を見て 其害を顧みず、
同類相推て 倶に禍門に入る。
【解】迷の人の境界をいふ。
6[宗鏡52]
欲透塵労 須知要径、
将施妙薬 先候病原。
塵労を透らんと欲せば 須く要径を知るべし、
将に妙薬を施さんとして 先づ病の原を候ふ。
塵労を透らんと欲せば 須く要径を知るべし、
将に妙薬を施さんとして 先づ病の原を候ふ。
【解】「塵労」は煩悩、「要径」は肝要なる道。
P478 (244)
7
鸚鵡能言 不離飛鳥、
猩々能言
不離禽獣。
鸚鵡能く言へども飛鳥を離れず、
猩々能く言へども禽獣を離れず。
鸚鵡能く言へども飛鳥を離れず、
猩々能く言へども禽獣を離れず。
【解】口真似仏法は一向役に立たぬ。
8
非規矩 不能定方円、
非準縄 不能正曲直。
規矩に非んば方円を定むること能はず、
準縄に非んば曲直を正すこと能はず。
規矩に非んば方円を定むること能はず、
準縄に非んば曲直を正すこと能はず。
【解】公案の「規矩」により、坐禅の「準縄」に依らずんば、真に悟ることは出来ぬ。
9
不萌枝上 金鳳翺翔、
無影樹辺 玉象囲繞。
不萌の枝上 金鳳翺翔し、
無影の樹辺 玉象囲繞す。
不萌の枝上 金鳳翺翔し、
無影の樹辺 玉象囲繞す。
【解】「不萌枝」「無影樹」は極楽園にある木にて人間界にはなし、仏界の有様をいふ。
和訓略解
禅林句集 終
大正九年
編集者 山本峻岳
発行所 光融館
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