2019年11月18日月曜日

【原文ルビ訓読】禅林句集 17字以上 021-033


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17字以上 021-033

21[壇経]
菩提 本無樹、明鏡 亦非台。
本来 無一物、何処 惹塵埃。

菩提本樹無し、明鏡亦台に非ず。
本来無一物、何れの処にか塵埃を惹かん。

菩提(ぼだい)(もと)(じゅ)()し、明鏡(めいきょう)(また)(だい)(あら)ず。
本来(ほんらい)無一物(むいつもつ)(いず)れの(ところ)にか塵埃(じんあい)()かん。

22[傳大士]
有物先天地、無形本寂寥、
能為万象主、不逐四時凋。

物有り天地に先だつ、形無うして本寂寥、
能く万象の主と為って、四時を逐うて凋まず。

(もの)()天地(てんち)(さき)だつ、(かたち)()うして(もと)寂寥(せきりょう)
()万象(まんぞう)(しゅ)()って、四時(しいじ)()うて(しぼ)まず。

23[論語]
吾党之直者異於是、
父為子隠、子為父隠、
直在其中矣。

吾が党の直き者は是に異れり、
父は子の為に隠し、子は父の為に隠す、
直きこと其の中に在り。

()(とう)(なお)(もの)(これ)(ことな)れり、
(ちち)()(ため)(かく)し、()(ちち)(ため)(かく)す、
(なお)きこと()(うち)()り。

24[楽府詩集]
滔々武渓一何深、
鳥飛不渡、獣不能臨、
嗟哉武渓、多毒淫。

滔々たる武渓一に何ぞ深し、
鳥飛んで渡らず、獣も臨むこと能わず、
嗟哉武渓、毒淫多し。

滔々(とうとう)たる武渓(ぶけい)(ひとえ)(なん)(ふか)し、
(とり)()んで(わた)らず、(けもの)(のぞ)むこと(あた)わず、
嗟哉(ああ)武渓(ぶけい)毒淫(どくいん)(おお)し。

25[圜悟]
有時 将一茎草 作丈六金身、
有時 将丈六金身 作一茎草。

有る時は一茎草を将って丈六の金身と作し、
有る時は丈六の金身を将って一茎草と作す。

()(とき)一茎草(いっきょうそう)()って丈六(じょうろく)金身(こんじん)()し、
()(とき)丈六(じょうろく)金身(こんじん)()って一茎草(いっきょうそう)()す。

26[荘子]
厲之人 夜半 生其子、
遽取火 而視之、
汲々然 唯恐 其似己也。

厲の人夜半其の子を生めり、
遽かに火を取って之を視る、
汲々然として唯其の己に似んことを恐る。

(らい)(ひと)夜半(やはん)()()()めり、
(にわ)かに()()って(これ)()る、
汲々(きゅうきゅう)(ぜん)として(ただ)()(おのれ)()んことを(おそ)る。

27[論語]
一箪食、一瓢飲、在陋巷、
人不堪其憂、
回也不改其楽、賢哉回也。

一箪の食、一瓢の飲、陋巷に在り、
人其の憂いに堪えず、
回や其の楽しみを改めず、
賢なる哉、回や。

一箪(いったん)()一瓢(いっぴょう)(いん)陋巷(ろうこう)()り、
(ひと)()(うれ)いに()えず、
(かい)()(たの)しみを(あらた)めず、
(けん)なる(かな)(かい)や。

28
無差別平等 不準仏法、悪平等故
無平等差別 不準仏法、悪差別故。

差別無き平等は仏法に準ぜず
悪平等なるが故に
平等無き差別は仏法に準ぜず
悪差別なるが故に。

差別(しゃべつ)()平等(びょうどう)仏法(ぶっぽう)(じゅん)ぜず
(あく)平等(びょうどう)なるが(ゆえ)
平等(びょうどう)()差別(しゃべつ)仏法(ぶっぽう)(じゅん)ぜず
(あく)差別(しゃべつ)なるが(ゆえ)に。

29
山河大地、万象森羅、
醯鶏蠛蝱、草芥人畜
一々放大光明、一々壁立万仞

山河大地、万象森羅、
醯鶏蠛蝱、草芥人畜
一々大光明を放ち、
一々壁立万仞

山河(せんが)大地(だいち)万象(ばんしょう)森羅(しんら)
醯鶏(けいけい)蠛蝱(べつぼう)草芥(そうかい)人畜(じんちく)
一々(いちいち)大光明(だいこうみょう)(はな)ち、
一々(いちいち)壁立(へきりゅう)万仞(ばんじん)

30[無門一九]
春 有百花、秋 有月、
夏 有涼風、冬 有雪、
若 無閑事 掛心頭、便是 人間好時節。

春に百花有り、秋に月有り、
夏に涼風有り、冬に雪有り、
若し閑事の心頭に掛くる無くんば、
便ち是れ人間の好時節。

(はる)百花(ひゃっか)()り、(あき)(つき)()り、
(なつ)涼風(りょうふう)()り、(ふゆ)(ゆき)()り、
()閑事(かんじ)心頭(しんとう)()くる()くんば、
便(すなわ)()人間(にんげん)好時節(こうじせつ)

31[法句経]
若人 静坐一須臾、勝造 恒沙七宝塔、
宝塔 畢竟化為塵、一念静心 成正覚。

若し人静坐一須臾せば、
恒沙の七宝塔を造るに勝れり、
宝塔、畢竟化して塵と為るも、
一念の静心、正覚を成ず。

()(ひと)静坐(じょうざ)一須臾(いっしゅゆ)せば、
恒沙(ごうしゃ)七宝塔(しっぽうとう)(つく)るに(まさ)れり、
宝塔(ほうとう)畢竟(ひっきょう)()して(ちり)()るも、
一念(いちねん)静心(じょうしん)正覚(しょうがく)(じょう)ず。

32[論語]
暮春者 春服既成、
得 冠者五六人、童子六七人、
浴乎沂 風乎舞雩 詠而帰。

暮春には春服既に成り、
冠者五六人、童子六七人を得て、
沂に浴し舞雩に風じ詠じて帰らん。

暮春(ぼしゅん)には春服(しゅんぷく)(すで)()り、
冠者(かんじゃ)()六人(ろくにん)童子(どうじ)(ろく)七人(しちにん)()て、
()(よく)(ぶう)(ふう)じ、(えい)じて(かえ)らん。

33[史記]
力抜山兮、気蓋世、
時不利兮、騅不逝。
騅不逝兮、可奈何、
虞兮虞兮、奈若何。

力山を抜き、気世を蓋う、
時に利あらず、騅逝かず。
騅の逝かざる、奈何がすべき、
虞や虞や、若を奈何せん。

(ちから)(やま)()き、()()(おお)う、
(とき)()あらず、(すい)()かず。
(すい)()かざる、奈何(いかん)がすべき、
()()や、(なんじ)奈何(いかん)せん。




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