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山僧(やまぞう)近前(ちか)づきて、
すなわち典座(てんぞ)の法寿(ほうじゅ)を問う。
私が典座和尚に近づいて年齢を尋ねたところ、
座(ぞ)云(い)う、
「六十八歳なり」と。
「六十八歳である」といわれた。
山僧(やまぞう)云う、
「如何ぞ行者(あんじゃ)、人工(にんく)を使わざる」と。
私が「どうして下働きの者にやらせないのですか」というと、
座云う、
「他(かれ)は是(こ)れ吾(わ)れにあらず」と。
「他人に頼んだのでは私の修行にならない」
山僧云う、
「老人家(ろうにんけ)、如法(にょほう)なり。
天日(てんじつ)かつ恁(かく)のごとく熱し、
如何ぞ恁地(かくのごとく)にする」と。
私は、「御老僧のいわれる通りです。それにしても、このように厳しい暑さの中でなされなくてもよいではありませんか」といったが、
座云う、
「更(さら)に何(いず)れの時をか待たん」と。
典座和尚に「今やらないで何時やるのか」といわれ、
山僧、すなわち休(きゅう)す。
私は何もいえなかった。
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