無外流
流祖「辻月丹」
無外流真伝剣法訣『十剣秘訣』
1.
獅王剣 中に三あり
地に曙する威
窟を出る態
返擲の機
大極より出れば 其の象見え難し
気象より発すれば 彼の痕窺い易し
獅子王劍 中有三
踞地威 出窟態 返擲機
自大極出則 難見其象
自氣象發則 易窺彼痕
2.
翻車刀
互換争い有るに似たり
鼓舞還りて動かず
翻車刀
互換似爭 鼓舞還不動
3.
玄夜刀
暗裏に文彩を施し 明中に跡を見ず
隠より見えず 微より顕れはせず
陰陽測らず 之を神と謂う
玄夜刀
暗裡施文彩 明中不見蹤
莫見乎隠 莫顕乎微
陰陽不測 謂之神
4.
神明剣
人は端末も未だ見えず
天地神明 応物運照を知るを能わず
変動に常は無く 敵に因りて転化す
事の先を為きず 動きてすなわち随う
神明劍
端末 未見人
莫能知天地神明 應物運照
變動無常 因敵轉化
不為事先 動而輙随
5.
虎闌入
形裏に目を注ぐは 象外に神を注ぐにおよばず
面拳頭に在り 之を形裏と謂う
敵無く我も無し 之を象外と謂う
無我の威 虎賁に当たらず
虎闌入
形裡注目 不如 象外注神
面在拳頭 謂之形裡
無敵無我 謂之象外
無我之威 虎賁無當
6.
水月感應
氷壷に影像なく 猿猴 水月をとらう
水月感應
氷壺 無影像
猿猴 捉水月
7.
玉簾不断
牛頭は没し 馬頭は還る
前波後波 相続して絶えず
忽ち没し 忽ち還る 心々不二
この中に三機あり
窮 変 通
玉簾不斷
牛頭没 馬頭回
前波後波 相續不斷
忽没忽回 心々不二
此中有三機
窮 變 通
8.
鳥王剣
正令まさに行われ 十方坐断せらる
金翅鳥王 まさに宇宙に当たる
筒中に誰かこれ出頭する人
鳥王剣
正令當行 十方坐斷
金翅鳥王 當宇宙
筒中誰是 出頭人
9.
無相剣
陰先んずる 之を暗頭と謂い
陽先んずるを 之を明頭という
明頭は見やすく 暗ければ察し難い
無相劍
陰先 謂之暗頭
陽先 謂之明頭
明頭易見 暗頭難察
10.
萬法帰一刀
問うて云わく
萬法一に帰す
一何れの処にか帰す
我答えて云わく
青洲に在って一領の布衫を作る
重きこと七斤
萬法帰一刀
問云
萬法帰一 一帰何處
答云
我在青洲 一領布衫 重七斤
更に参ぜよ三十年
更參 三十年
圓相
文字の沙汰にあらず
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