「そもそも『しあわせ』という和語は、奈良時代に『為合』という字を当てたのが始まりです。これは『天に合わせる』という意味ですが、日本人は自然は人間の手に負えないものと考えていましたから、ほとんど『運命』のような意味だったんです。
これが室町時代に入ると、『仕合』、つまり人間対人間の話になる。相手にどのように『仕合わせる』か、ということで試合(仕合)という言葉も生まれてくるんです。
武道では、相手より先に攻めることを『先の先』、相手の出方を待って応ずるのを『後の先』と言いますが、『後の先』は相手に仕合わせるやり方です」
僧・玄侑宗久さんの幸福論。
相手の幸せに合わせていく「後の先(ごのせん)」、それが日本人の「仕合わせ」であると説いています。
「これは、お金やモノの量などで量れる『西洋的なハピネス』とは大きく違います(玄侑宗久)」
出典:致知2012年12月号
「無常の中の幸福を探る」