2019年11月16日土曜日

【原文ルビ訓読】禅林句集 17字以上 001-010

17字以上 001-010

1[新論]
翡翠以羽自残、
亀以智自害、
丹以含色磨肌。

翡翠は羽を以て自ら残ない、
亀は智を以て自ら害し、
丹は色を含むを以て肌を磨す。

翡翠(ひすい)(はね)(もっ)(みずか)(そこ)ない、
(かめ)()(もっ)(みずか)(がい)し、
(たん)(いろ)(ふく)むを(もっ)(はだ)()す。

2
阿字一刀、下於八識田中、
生死又斬、涅槃又斬。

阿字一刀、八識田中に下す、
生死も又斬り、涅槃も又斬る。

阿字(あじ)一刀(いっとう)八識(はっしき)田中(でんちゅう)(くだ)す、
生死(しょうじ)(また)()り、涅槃(ねはん)(また)()る。

3[詩経]
鶴鳴于九皐、声聞于十方、
魚潜在淵、或在于渚。

鶴九皐に鳴いて、声十方に聞こゆ、
魚潜んで淵に在り、或いは渚に在り。

(つる)九皐(きゅうこう)()いて、(こえ)十方(じっぽう)()こゆ、
(うお)(ひそ)んで(ふち)()り、(ある)いは(なぎさ)()り。

4[続伝六]
雁過長空、影沈寒水、
雁無遺蹤意、水無沈影心。

雁長空を過ぎて、影寒水に沈む、
雁に遺蹤の意無く、水に沈影の心無し。

(かり)長空(ちょうくう)()ぎて、(かげ)寒水(かんすい)(しず)む、
(かり)遺蹤(いしょう)()()く、(みず)沈影(ちんえい)(しん)()し。

5[范文正公集]
居廟堂之高、則憂其民、
居江湖之遠、則憂其君。

廟堂の高きに居しては其の民を憂い、
江湖の遠きに居しては其の君を憂う。

廟堂(びょうどう)(たか)きに(きょ)しては()(たみ)(うれ)い、
江湖(ごうこ)(とお)きに(きょ)しては()(きみ)(うれ)う。

6[史記]
狡兎死走狗烹、
飛鳥尽良弓蔵、
敵国破謀臣亡。

狡兎死して走狗烹られ、
飛鳥尽きて良弓蔵れ、
敵国破れて謀臣亡ぶ。

狡兎(こうと)()して走狗(そうく)()られ、
飛鳥(ひちょう)()きて良弓(りょうきゅう)(かく)れ、
敵国(てきこく)(やぶ)れて謀臣(ぼうしん)(ほろ)ぶ。

7
乞児亦不顧底破漆桶、
痩馬亦不食底蔓葛藤。

乞児も亦顧みざる底の破漆桶、
痩馬も亦食らわざる底の蔓葛藤。

乞児(こつじ)(また)(かえり)みざる(てい)破漆桶(はしっつう)
痩馬(そうば)(また)()らわざる(てい)蔓葛藤(まんかっとう)

8
蛇出一寸、知其大與小、
人出一言、知其長與短。

蛇一寸を出れば、その大と小とを知り、
人一言を出せば、その長と短とを知る。

(へび)一寸(いっすん)(いず)れば、その(だい)(しょう)とを()り、
(ひと)一言(いちごん)(いだ)せば、その(ちょう)(たん)とを()る。

9[呂氏]
伯牙能鼓琴、鐘子期善聴、
鐘子期死、伯牙断琴。

伯牙能く琴を鼓し、鐘子期善く聴く、
鐘子期死して、伯牙琴を断つ。

伯牙(はくが)()(きん)()し、鐘子期(しょうしき)()()く、
鐘子期(しょうしき)()して、伯牙(はくが)(きん)()つ。

10[論語]
君子無終食間違仁、
造次必於是、顛肺必於是。

君子は食を終うるの間も仁に違うこと無し、
造次にも必ず是に於いてし、
顛肺にも必ず是に於いてす。

君子(くんし)(しょく)()うるの(あいだ)(じん)(たが)うこと()し、
造次(ぞうじ)にも(かなら)(ここ)()いてし、

顛肺(てんぱい)にも(かなら)(ここ)()いてす。




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