2016年4月30日土曜日

「心の三原色」 [有田秀穂]



話:有田秀穂





わたしは坐禅をサイエンスで解く研究をはじめた。

心に関係する作業仮説として「心の三原色」説をとなえた。心に影響をあたえる3つの主要な神経系として、

ドーパミン神経

ノルアドレナリン神経

セロトニン神経

を取りあげ、その3つの神経系が相互に影響しあうことによって、あらゆる心の状態が説明できるという仮説をたてた。







具体的には

ドーパミン神経は報酬(成績・お金・地位・夢など)で駆動され、意欲や快情動を発現させる(赤い心)。

他方、ノルアドレナリン神経はストレスで駆動され、注意・集中や不快な情動(不安・緊張)を発生させる(青い心)。

セロトニン神経は坐禅やウォーキングなどで活性化され、ドーパミン神経(快)とノルアドレナリン神経(不快)を抑制し、平常心をつくりだす(緑の心)。







これまで得られている坐禅関連のデータは以下のとおりである。

坐禅の呼吸法をおこなうと、脳波に特別なα(アルファ)波があらわれて、大脳皮質の活動が鎮静し、心理的には緊張・不安、抑うつ、敵意などのネガティブな気分が改善し、元気な心の状態があらわれる。また、前頭前野(人間で一番進化・発達した脳部位)が活発に活動し、意欲、集中力、直感力が上昇する。

このような変化が起こるのは、脳内のセロトニン神経の活性化による、というエビデンスを明らかにし、「坐禅のセロトニン仮説」として体系化してきている。







セロトニンという特別な神経がわたしたちの脳のなかにあって、しかもその働きを強め活性化するのが、いろいろな瞑想法であり、坐禅だと考えています。

セロトニン神経のはたらきを考えれば、じつは坐禅とか瞑想法だけではなく、ヨーガでもいい。ちょっと変わったところでは、フラダンスでもそういう効果をもたらすのです。







引用:仏教と脳科学: うつ病治療・セロトニンから呼吸法・坐禅、瞑想・解脱まで (サンガ新書)



0 件のコメント:

コメントを投稿