2019年10月6日日曜日

【書き下し】無門関 02 百丈野狐

無門関

第二則 百丈ひゃくじょう野狐やこ

百丈ひゃくじょう和尚おしょうおよさんついおり
いち老人ろうじんってつねしゅしたがってほう
衆人しゅじん退しりぞけば老人ろうじん退しりぞく。
たちま一日いちじつ退しりぞかず。
ついう、
面前めんぜんものた]何人なにぴとぞ」。
老人ろうじんいわく、
だく某甲それがし非人ひにんなり。
過去かこ迦葉仏かしょうぶつときいてかつやまじゅうす。
ちなみに学人がくじんう、
大修業だいしゅぎょうていの人、かえってた]因果いんがつるやいなや』。
某甲それがしこたえていわく、
因果いんがちず不落ふらく因果いんが』。
五百生ごひゃくしょう野狐やこ身に堕す。
いまう、和尚おしょう一転語いってんごかわって、ねがわくはたっとむらくは、ひとえに]野狐やこだっせしめよ」といってついう、
大修業だいしゅぎょうていひとかえってた]因果いんがつるやいなや」。
いわく、「因果いんがくらまさず不昧ふまい因果いんが]」。
老人ろうじん言下ごんかいて大悟たいごす。
作礼さらいしていわく、
某甲それがしすで野狐やこしんだっして山後さんご住在じゅうざいせん住在とどむ]
えて和尚おしょうぐ。うらくは亡僧もうそう事例じれいれ」。

維那いのうをして白槌びゃくついしてしゅぐしむ、
食後じきご亡僧もうそうおくらん」と。
大衆だいしゅ言議ごんぎすらく、
一衆いっしゅやすし、涅槃堂ねはんどうひとし。
なんゆえかくごとくなる」と。
食後じきごしゅりょうして山後さんご巖下がんかいたって、
つえもっ一死いっし野狐やこ挑出ちょうしゅつし、
すなわ火葬かそうらしむるる]る。

くれいたって上堂じょうどうさきまえの]因縁いんねんす。
黄蘗おうばく すなわう、
古人こじんあやまって一転語いってんご祇対したいし、
 五百生ごひゃくしょう[の]野狐やこしんす。
転々てんてんあやまらずんば、まさ甚麼なにとかるべき」。
いわく、
近前きんぜんらいかれめにわん」。
黄蘗おうばく つい近前きんぜんして、一掌いっしょうあたう。
ってわらっていわく、
まさえり将謂おもえらく]胡鬚こしゅしゃくと。
 更さら赤鬚しゃくしゅ[の]り」。

無門むもんいわく、
不落ふらく因果いんがなんてか野狐やこす。
 不昧ふまい因果いんがなんてか野狐やこだっす。
者裏しゃりむかって一隻眼いっせきげん著得じゃくとくせば、
便すなわぜん百丈ひゃくじょう風流ふうりゅうなる五百生ごひゃくしょうたることを知得ちとくせん]」。

じゅいわく、
不落ふらく[と]不昧ふまい[と]両采りょうさい一賽いっさい[なり]
不昧ふまい[と]不落ふらく[と]千錯せんしゃく万錯ばんしゃく[なり]

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