2019年10月10日木曜日

【総ルビ原文】不動智神妙録 01 無明住地煩悩


不動智(ふどうち)神妙(しんみょう)(ろく)
沢庵(たくあん)宗彭(そうほう)
無明(むみょう)住地(じゅうち)煩悩(ぼんのう)

  無明(むみょう)とは、(あきら)になしと(もう)文字(もじ)にて(そろ)
住地(じゅうち)とは(とどま)(くらい)(もう)文字(もじ)にて(そろ)仏法(ぶっぽう)修行(しゅぎょう)五十二(ごじゅうに)()(もう)(こと)(そろ)。その五十二(ごじゅうに)()(うち)に、物毎(ものごと)(こころ)(とどま)(ところ)住地(じゅうち)(もう)(そろ)(じゅう)(とどま)ると(もう)義理(ぎり)にて(そろ)(とどま)ると(もう)すは、何事(なにごと)()ても其事(そのこと)(こころ)(とどむ)るを(もう)(そろ)
           貴殿(きでん)兵法(ひょうほう)にて(もう)(そうら)はゝ、(むこ)ふより(きり)太刀(だち)一目(ひとめ)()て、()(まま)にそこにて()はんと(おも)へは、(むこ)ふの太刀(たち)()(まま)(こころ)(とどま)りて、手前(てまえ)(はたらき)()(そうろう)て、(むこ)ふの(ひと)にきられ(そろ)()れを(とどま)ると(もう)(そろ)
 (うち)太刀(だち)()(こと)()れども、そこに(こころ)をとめず、(むこ)ふの(うち)太刀(だち)拍子(ひょうし)()はせて、()たうとも(おも)はず、思案(しあん)分別(ふんべつ)(のこ)さず、振上(ふりあぐ)太刀(たち)()るや(いな)や、(こころ)卒度(そっと)(とど)めず、()のまゝ付入(つけいり)(むこ)ふの太刀(たち)にとりつかば、(われ)をきらんとする(かたな)()(かた)へもぎとりて、(かえっ)(むこ)ふを()(かたな)となるべく(そろ)
 禅宗(ぜんしゅう)には(これ)(かえって)把鎗頭(そうとうをつかみ)倒刺人(さかしまにひとをさし)(きた)ると(もう)(そろ)(そう)はほこにて(そろ)(ひと)()ちたる(かたな)()(かた)へもぎ()りて、(かえっ)相手(あいて)()ると(もう)(こころ)にて(そろ)貴殿(きでん)無刀(むとう)(おお)せられ(そうろう)(こと)にて(そろ)
 (むこ)ふから()つとも、(われ)から()つとも、()(ひと)にも()太刀(たち)にも、(ほど)にも拍子(ひょうし)にも卒度(そっと)(こころ)(とど)めれば、手前(てまえ)(はたらき)(みな)()(そうろう)て、(ひと)()られ可申(もうすべく)(そろ)
 (てき)我身(わがみ)()けば、(てき)(こころ)をとられ(そうろう)(あいだ)我身(わがみ)にも(こころ)()くべからず。()()(こころ)()きしめて()くも、初心(しょしん)(あいだ)(ならい)()(そうろう)(とき)(こと)なるべし。
 太刀(たち)(こころ)をとられ(そろ)拍子(ひょうし)(あい)(こころ)()けば拍子合(ひょうしあい)(こころ)をとられ(そろ)(わが)太刀(たち)(こころ)()けば、(わが)太刀(たち)(こころ)をとられ(そろ)。これ(みな)(こころ)のとまりて、手前(てまえ)抜殻(ぬけがら)になり(もう)(そろ)貴殿(きでん)御覚(おんおぼ)可有(あるべく)(そろ)仏法(ぶっぽう)引当(ひきあ)(もう)すにて(そろ)
 仏法(ぶっぽう)には(この)(とどま)(こころ)(まよ)いと(もう)(そろ)(ゆえ)に、無明(むみょう)住地(じゅうち)煩悩(ぼんのう)(もう)すことにて(そろ)




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